『Angel Smile』
《2020/インタラクティブアート》

 

「キテミテ中之島2020」出品作品のコンセプト

鑑賞者がモニターテレビの前に来ると、自分の顔が白塗りの舞妓さんのような顔に替わるインタクティブ・インスタレーションである。すり替わる顔のひな形は日本人の素晴らしい笑顔を元にしているため、今の自分が笑顔に変化し、それが皮膚感覚で伝わり思わず本当の笑顔に満ていく行動へと誘われる。目や口を動かすとリアルタイムに反応して、人による個性も反映されるので、エンターテインメントとして楽しみながらリラックスして自己開放できるのがこの作品の特徴である。
他者の顔を単純に仮面のようにつけているのではなく、鑑賞者の顔の特徴点に調節されているため、各人の個性が際立ち、複数の人と鑑賞すると顔の個性や特徴が顕在化するのが興味深い。

 

駅から始まるアートイベント「キテミテ中之島2020」への想い

自分の周りの環境や他人のことばかり気にしていると、自分を位置づけを外部の目線や価値観からのみ限定してしまい、本当の自分は見失われるであろう。
アートは単なる自己満足だと批判されることもあるが、どんな世界にあっても中途半端な自己満足など全く意味をなさない。むしろ真摯な自己対話によって純粋で大いなる昇華された自己満足とは、アイデンティティを確立・確認する行為に他ならない。自己と正面から対峙してこそ得られる絶えざる自己発見は、アートに内在する強い社会性なのである。
他者や世界から隔絶して存在する個人など存在しないのだから、他者や世界との関係は純粋な自己対話からのみ発見が可能である。そしてそれはアートを実践するものだけでなく、アートの鑑賞者にとっても同じであり、アートを通じたコミュニケーションを通じて鑑賞者にも自己発見の場が与えられるのである。

 

■「キテミテ中之島2020」延期から開催に向け考えたこと■

自分が実践するアートの本質をひとことで言えば「アートを通じて人々を笑顔をさせること」であると自覚している。かつて経験したことのないコロナ禍の中で、人々の直接的なコミュニケーションが極端に制限され、不安ばかりが醸成される状況が続いている状況の中で、ひとりのアーティスとして自分ができる一番素晴らしいこととは、文字通り人々を笑顔にさせる作品制作であると考えた。笑顔や感動は免疫力を向上させる意義もある。

 

■Profle■

1955 静岡県生まれ
1978 京都大学理学部(物理学第二教室 )卒業

現在 大阪芸術大学を拠点とした制作活動・パフォーマンス表現・ワークショップ
作家URL:http://commseed.com/
HyperKeyboardシリーズ(1989~)Interaction Paintingシリーズ(1993~)
N-E-W-Sシリーズ(2003~)DEN-WAシリーズ(2005~)など作品多数。
1992年コム博・インタラクティブアートギャラリー、1994年IMAGES DU FUTURE
1996年サイエンス・アート展、2004年VISION in Pragueなどに参加。
1994年「インタラクティブアート宣言」、2003年「芸術情報論」、童話作品などの著作。

《photo image: 仮想通貨?/2018》